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「自分の音、聴いてる? 発想を変えるピアノ・レッスン」山本美芽・著 [書評]




生徒さんで、指がうまく回らない、音が転んでしまっているときには、こう言ってみることにしています。


「自分の音をよく聴いてみて」


大抵、上記のような問題は、自分の音がよく聴けていないことから生じることだ、と私も自分の経験から理解しています。


「耳がサボる」という表現もしますが、聴くことがおろそかになってしまうと、弾けるものも弾けなくなってしまうのは、面白いことでもあります。




山本美芽さんの新刊「自分の音、聴いてる?発想を変えるピアノ・レッスン」は、まさに「聴くこと」にフォーカスした書籍です。


音楽ライターとして15年のご経歴を持ち、その間には様々な素晴らしい音楽家やアーティストへのインタビューをされてきたそうです。



そのなかで、どの音楽家も大切にしていることが「聴くこと」。


本書では、なぜ聴くことが大事なのかを様々な視点で考察しています。



思えば、恩師が他の楽器と「合わせること」の重要性を、いつも説いてくださいました。

この書籍でも室内楽をやると耳が鍛えられる、と書いていますが、これは私も経験を通して実感しています。


私もシューマンのピアノトリオを演奏会でさせていただいたことがありますが、確かにバイオリンとチェロとの合わせは、構成が分かりやすく、またバランス感覚も鍛えられたように思います。


ともすると失いがちな、音楽の「息遣い」を、合わせることで気づかされたことは少なくありません。



また、メトロノームのくだりにもありましたが、大切なのは「自分以外の音」を聴きながら弾くこと。これは誰もが実感していることだと思います。


そしてここがポイントだと思うのですが、それが結果的に「自分の音」に敏感になることにつながり、音として現れたときのクオリティが変わってくるということ。


だからこそ、合わせることが重要になってくるのですね。





レッスンとは、自分よりもハイレベルな聴く力を持っている人に、自分が聴いても気づかないポイントをチェックしてもらう場」


「自分の頭の中に住んでいるピアノの先生のステージを上げていくことが、ピアノの上達に直接的に役立つ」


「聴くことと、歌うこと、リズムをとることが、心の中ですべて同時に起こり、一体になっていると、それは『積極的な聴き方』になっている」



こうした言葉は、自分の音楽を創り上げる際に必要なことであり、あるいは教える立場になったときにも、大切なことだと実感しました。




自分の演奏に行き詰りを感じたら、「私は今、自分の音を聴けているだろうか?」と自問すること。



それが実は、解決への近道になるのかもしれません。








★今日の一冊「自分の音、聴いてる?発想を変えるピアノ・レッスン 山本美芽・著」(春秋社)









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「われら!ピアノ・ルーキーズ・バンド」春畑セロリ・作曲 [書評]





ピアノ教育業界でも人気で、このブログでもたびたびご紹介している、春畑セロリ先生が、新刊を出されました。


「きまぐれれんだん」シリーズの4冊目となる曲集、「われら!ピアノ・ルーキーズ・バンド(音楽之友社)」です。


タイトルに、「ルーキーズ」とあるように、ピアノ1台で初心者でも取り組めて、しかもみんなで楽しめる、合奏アレンジになっています。


1人1パートなので、それぞれ片手で(がんばれば1本指で)弾くことができます。イメージとしては、アカペラで歌うボーカルグループ、といった感じでしょうか。


3人から5人(アレンジで多いのは4人)がピアノ1台で、みんなが知っている曲を合奏できます。


この曲集には、童謡やクラシック、ポップス、カンツォーネなど様々なジャンルの曲が取り上げられています。


「もりのくまサンバ」や「もりのくまシャンソン」「スワニー・ボサ」など様々なスタイルのアレンジ。また、「チャレンジショパン!」では「英雄ポロネーズ」や、「遺作のノクターン」さらに「バラード1番」なども。


「パフ」では、二人水入らずの演奏に、別の二人が途中で「乱入」する場面もあるなど、面白い仕掛けもありますね。


ゆったりとした曲では、オシャレで大人っぽいアレンジ、リズミカルな曲では心躍るようなアレンジ。どれも楽しめる作品ばかりが収められています。


合奏などで、お互いの音をよく聴き合うことは、ピアノや音楽の勉強に欠かせません。けれども、ピアノ教育の現場では、子どもたちが「アンサンブル」を楽しむ機会はあまりありません。


誰もがそうだと思いますが、音楽の楽しさを実感できるのは、みんなで一つの音楽を創りあげたときです。


小さい子たちがわいわい楽しみながら「合わせる喜び」を知る。

この曲集のような1人1パートという編成であれば、それも可能になりますね。



発表会やちょっとしたイベント、子どもたちが集まるグループレッスンなど、ピアノ教室でも使える一冊。


春畑セロリ先生の、楽しい世界やサウンドに触れてみてはいかがでしょうか。






★今日の一冊
「われら!ピアノ・ルーキーズ・バンド 春畑セロリ・著」(音楽之友社)







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「ドビュッシーと歩くパリ」中井正子・著 [書評]




ヨーロッパでの音楽留学の醍醐味として、学びながら様々な国を訪れることができることが挙げられると思います。


ヨーロッパは地続きで、交通網も発達しているので、時間とお金に余裕があれば、どこにでも行くことができます。



私もドイツに留学していたときに、友人でピアニストの山口雅敏さんを訪ねて、パリに行ったことがあります。


肌が痛くなる、40度を超える真夏でしたが、彼は私にとっての初めてのパリを、ポイントを絞って、見事に案内してくれました。



先日読んだ本に、中井正子先生の「ドビュッシーと歩くパリ(アルテスパブリッシング)」があります。



中井正子先生といえば、ドビュッシーのピアノ作品の全曲演奏会や全集CD録音、全曲実用版楽譜校訂などで、ドビュッシー演奏の第一人者として知られるピアニスト。


その中井先生が、ピアニストの視点でパリを案内してくれるのがこの書籍です。


ドビュッシーは今年生誕150年を迎えたフランスの作曲家。「月の光」などは、CMなどでもよく流れているのでご存じの方も多いでしょう。


そうしたドビュッシーゆかりの地を、作品の解説や写真で彩りながらガイドしてくれています。



「彼の人生や音楽を一緒に体験する楽しみを味わっていただきたい」


と「はじめに」にもあるように、ドビュッシーの生涯や暮らしぶり、作品の背景などが、パリの街とリンクして味わうことができます。


中井先生の留学時代のお話も含め、あたかも一緒に歩き、お話を伺いながら、パリの街を散策しているかのような、そんな気分になります。



初めてパリで、モンマルトルの丘やルーヴル美術館、旧オペラ座を訪れたときの、あの感覚が甦ってきます。そうした情景や空気感まで伝わってくる文章は素晴らしいです。


また、「こういうところでゆっくり読書したいな」と思わせるような、パリの街の写真がいいですね。



駅で、改札を通らず乗り越えていく若者を唖然として見た経験がありますが、この本にあった、カルネ(交通チケット)を買うくだりの「アンタラネ・シモブクレ」には笑いました。



この書籍には、自身の演奏によるCDも付属されていて、これを流しながら読んだり、写真を眺めているだけで、パリを歩いているような気分になれます。


柔らかくもシャープな中井先生の演奏、選りすぐりの19曲の名曲で、ドビュッシーのピアノの世界を堪能しました。



あらためて、ドビュッシーの素晴らしさ、そしてパリの良さを感じることができる、そんな一冊でした。



今度パリに行ける日はいつになるだろう。今度は哀愁ただよう秋に、訪れてみたいものです。






★今日の一冊
「ドビュッシーと歩くパリ 中井正子・著」(アルテスパブリッシング)








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クリスマスカードは感謝の気持ち [留学時代の思い出]




今年も残すところあと20日。街ではイルミネーションが輝き、カフェではクリスマスソングが流れます。


教室では、小さい生徒さんたちが楽しみに待っていた、アドヴェントカレンダーをやっています。

(日にちのところを開くと、小さいチョコレートが入っているタイプです)




12月になると、ドイツで師事した先生に、クリスマスカードを贈ります。今年で9年目になります。



思えば、修了コンサートをしたのも、ハンブルグの街がクリスマス市で盛り上がっている12月でした。


ハイドンのソナタ、バッハの平均律、ラフマニノフのソナタ2番、神田晋一郎氏の作品を弾きました。

室内楽も課題にあったので、シューマンのヴィオラとピアノの作品を選びました。
(あのとき共演してくれた、ドイツ人の彼はいまどうしているだろうか・・・・)



先生からは、いつも写真付きのクリスマスメールが送られてきます。

いつまでも覚えていてくださることに、じんわりきます。


今年も、変わらぬ感謝を込めて、遠いドイツを思いながら、カードを書きます。






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